ファーストパーソン・シューティングゲーム(英:First Person shooter, 略称FPS)とは、主にシューティングゲームの一種で、主人公の一人称視点(FPSまたはFPV)でゲーム中の世界・空間を任意で移動でき、武器もしくは素手などを用いて戦うアクションゲームのスタイルを指す。混同されがちだが、自分の姿が見えるゲームはサードパーソン・シューティングゲーム(TPS:三人称視点)として区別される。
「ファーストパーソン・シューティングゲーム(First Person shooting game)」は和製英語で、アメリカではファーストパーソン・シューター(First Person shooter)と表現する。「一人称視点シューティングゲーム」と訳される。また、「ファーストパーソン・シューティングゲーム」という呼称が定着する以前は「3Dシューティングゲーム」や、「DOOM系シューティングゲーム」などと呼ばれており、現在でもそのように表現する人も少なくはない。
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一般的な操作方法やアクション
作品によって異なるが、大半のFPSでは以下のようなアクションが導入されている。以下に記述するのはFPSとして成立するために最低限必要なアクションであるため、作品によってはさらに複数のアクションが搭載されているのも珍しくは無い。
照準の操作
プレイヤーはマウス、もしくはキーボードを用いて照準を操作する。しかし現在ではキーボードで照準を操作する事は前提になっておらず、殆どのソフトでは照準操作の初期設定はマウスのみである。通常、照準は常にキャラクターの視界中心に位置するようになっており、照準を動かすことはすなわち体の向きを変えることになる。なお、照準の操作でキャラクターの位置は移動されない。家庭用ゲーム機の場合、右アナログススティックで操作するのが一般的である。
移動
現在地を移動するにはキーボードを用いて操作するのが基本である。キーボードのカーソルキーか「W,A,S,D」もしくは「E,S,D,F」等(左手の人差し指、中指、薬指で操作しやすい位置)のキーが多用される。一般的に移動は体の向きに影響を与えず、左右への入力は正面を向いたままカニ歩き(サイドステップと言う)をする状態、前への入力は前進、後ろへの入力は正面を向いたままの後退である。家庭用ゲーム機の場合、こちらは左スティックに操作が割り当てられている事が多い。
ジャンプ
その場で跳ねる。ジャンプは照準の操作や移動と併用することで足場を上ったり、激しい上下運動で敵の狙撃から逃れることに使われる。当然ながら作品によって飛ぶ高さや挙動は異なる。ちなみにジャンプが導入されていないFPSも極稀にだが存在する。
エイミング
狙いを定める事。照準の操作および現在地の移動を組み合わせて行なう。現在エイミングという言葉はアイアンサイト(照準機)等を覗きこみ、武器の命中率を上げるシステムの名称として利用される傾向にある。誤用ではないが、ゲーム作品によって微妙に意味が異なる点に注意。
銃撃 / 打撃
持っている武器で攻撃する。主にマウスの左クリックや右クリックに割り当てられている。鈍器の場合は殴りつけ、銃器の場合は引き金を引く。作品によっては通常攻撃のほかに近接攻撃ボタンが用意されているものもあり、必ずしも接近戦用の武器を所有していなくても殴ったり蹴ったりできる物もある。また、一つの武器に二つ以上の攻撃方法(プライマリショット、セカンダリショット)がある作品も複数見受けられる。打撃や銃撃がシステムとして存在しないゲームは極稀に存在する。
リロード
弾薬やエネルギーを用いて使用する武器の場合、弾薬のリロード(再装填)を行う物もある。殆どの場合、リロードには数秒の時間を待たされる上、リロードをしている間は攻撃できないのが一般的であり、無防備な状態である。特に対戦物のFPSでは互いのリロードタイミングが勝敗の鍵を握る重要な要素の一つである。
かがみ・伏せ
立っている状態から上体を低くする行動。敵の視線や攻撃(銃撃など)を避けるため、また狭い場所をくぐり抜けるために行う。座ることによってそれを行うことを「かがみ」、腹ばいになってそれを行うことを「伏せ」というのが一般的。ゲームによってこの行動そのものがなかったり、「かがみ」だけで「伏せ」がない、両方の行為がとれるものなど様々。射撃においてはこの上体を低くすることによって命中精度が上がる。かがみ、伏せのじょうたいでも移動は可能だが立っている上体よりは移動速度が遅くなるのが一般的。
リーン
上半身を左右に傾けることのできるものもある。これは特に壁などから敵を覗き込む際、キャラクターの体を半分だけ出して狙うことができ、体の露出率を下げて被弾しにくくする事ができる。主に現実世界を題材にした作品に多く見られる操作システムである。
バレットタイム
ゲージなどを消費して画面をスローモーションにし、その間に敵を攻撃したり銃弾を避ける能力の総称。条件を満たすと自動で発動する物もある。ゲームにより名称は様々。昨今のFPSで徐々に普及しつつある機能である。元は映画用語。ほとんどの場合このような機能はシングルプレイのみで、マルチプレイでは使えない (Killing Floorのように、全員に効果をかけることでマルチプレイで実現しているゲームも存在する。)。
FPSのネットワークプレイ
FPSにはネットワークを介した対戦モードが搭載されていることが多い。一回のゲームプレイ時間が他のゲームジャンルと比べて数分~長くても1時間程度(ゲームのルールによって異なる)と比較的短い上に、ネットワークRPGと違ってレベルを上げたりアイテムを集めるといった作業をしなくても楽しめる(一部FPSでは「アンロックアイテム」という形で経験値入手のアイテムもあるが)。
一般のゲームではネットに接続しないで1人、もしくは同一ハードを利用した多人数プレイを「オフラインプレイ」、ネット接続での多人数プレイを「オンラインプレイ」というのが一般的である。一方、PCを発祥とするFPSでは、1台のPCで2人以上のプレイができない(一部ゲームではスプリットスクリーンでのプレイも可能だが、ほとんど存在しない)ことや、LANによるオフラインかオンラインかよく分からない状況が存在すること、また本格的にGUIからの多人数プレイをサポートした『Quake』での表記法より、伝統的に1人でストーリーモードをプレイすることを「シングルプレイ」、ネット接続やLANでの多人数でプレイする事を「マルチプレイ」と呼称する。ただし1人でマルチプレイの練習をすることはシングルプレイと呼ばずに「マップを走る」や「BOTを撃つ」などと呼ばれる。
ゲームによってはシングルとマルチで全く別のチューニングを施されているため(例:シングルプレイではリロードが存在、マルチプレイでは存在しない『Quake4』など)、シングルとマルチは単純に同じゲームではない物も多い。
いわゆるボードゲームやカードゲームとは違い、運による要素がせいぜい「最初に登場する位置」「復活時に登場する位置」「アイテムの出現タイミング」程度しかなく(タイトルによって異なるが)、プレイヤーの腕前が顕著に出るジャンルである。2007年現在、世界で最も遊ばれているネットワークゲームのジャンルの一つといわれている。
最近ではネットワーク対戦モードが搭載されたFPSのほうが多く、シングルプレイヤーに特化したFPSは縮小傾向にある。
FPSの対戦は腕前が顕著に出すぎてしまうという点で、新規プレイヤーが古参プレイヤーに対抗できず、負けがかさんですぐにやめてしまう人も多い。これは、初心者に対する救済措置が少ない作品がほとんどであることも影響しており、強くなるには少しずつでも習熟するしか方法はない。逆にある程度複数のFPSを経験した者は、別の作品の対戦に入り込んでも割と良い戦績を残せる事も珍しくない。近年では初心者でもまぐれで上級プレイヤーを倒せるようなシステムの作りになっている作品も見受けられ、初心者に対する間口を広げている傾向は強い。しかし、家庭用コンシューマのFPSの場合古参のプレイヤー自身が新規プレイヤーに排他的になっている事も多いのが現状である。家庭用ゲーム機はPCと違い敷居が低い為、その分プレイヤー数も多く様々な年代の人がいる事、匿名であるが故に強気になれるということが要因とされる。チーム戦等で成績が振るわない人に対し「才能がない」「ゲームをする資格はない」「二度とチーム戦はやるな」等という暴言を吐かれる人も存在し、中にはインターネット上でプレイヤーのIDを晒す行為をしたりする人もいる。初心者にしてみればこれらの暴言はかなり傷つく事は想像に難くなく、これが原因でFPSを離れる新規プレイヤーも存在する。なお当然、これらはFPSに限った話ではない。
もう一点注意しなくてはならないのは、常連による暗黙の了解(特定の武器やアイテムを使わない、乗り物の利用、アクションの使用、マップの特定地点への進入等)を知らないがためにこれを破ってしまい、ゲームサーバーから追い出される(締め出し、キック)事例である。最近では(特に家庭用ゲーム機向けで)こうしたユーザー投票による締め出し等のシステムをあえて導入していない作品もあり、初心者プレイヤーの締め出しをシステム側から抑制している傾向がある。 また、こういったゲームでは他の装備より飛び抜けて強い武器が存在すると「バランスブレイカー」と呼ばれ忌み嫌われる事がある。バランスブレイカーといわれる武器を使用しているだけで締め出される事例も中にはある。
人気のゲームであれば日本国内に置かれているサーバーが多数存在し、サーバー間の距離による応答遅延はさほど感じないプレーが出来るが、国内で正式に発売されていなかったり、マイナーなゲーム、さらにはネットコードがLANに最適化されすぎ、応答遅延やパケットロスに弱いゲームであると、オンライン上ではまともにプレイできないゲームも存在する。また、言葉の壁にぶつかるケースもある。
PCゲームでは細やかな映像オプションが搭載されているため、よほど低性能のPCで高世代のゲームをプレイしようとしない限りはマシンスペックの差異はそこまで極端に発生しないようになっている。そのため、余計に腕前や契約している回線とプロバイダに勝敗が左右されてしまう傾向が強い。クライアントマシンとサーバ間のネットワークのラウンドトリップタイム(以下RTT。なお、測定に使用するソフトウェアpingから、若年層のFPSゲーマを中心に、この値自体を指して俗にpingと呼ばれる)が、決定的な差となる場合が多い。
たとえば日本国内のサーバ・日本国内のプレイヤ同士の場合で、最短と最長の差が50ミリ秒程度になることがある。RTTの短い(俗にpingが低い)環境のプレイヤはRTTの長い(pingが高い)環境のプレイヤの50ミリ秒分の未来を見ていることになり、突き詰めた勝負ではそのコンマ数秒で勝ち負けが決まってしまうこともある。そのため、拮抗した実力を持つプレイヤー同士のプレーになるとネットワーク環境が優れている、もしくは有利な地域から接続しているプレイヤーのほうが有利に働いてしまう傾向にある点は否めない。
この接続環境によるタイムラグを比較的意識させないゲームプログラムの組み方を行っている作品も多く見られ、例えば旧来のゲームでは「実際に敵が見えている位置よりも未来を予測した位置に銃弾を発砲する」必要がある作品も珍しくなかったが、最近では「自分が見ている敵に実際に弾丸が当たっていれば相手の実際の位置に関係なくダメージが通る」というシステムを取り入れている作品も珍しくない。
しかし後者のシステムを取り入れたとしても通信ラグは完全に緩和されるわけではなく、例えば自身は完全に壁の裏などに逃げ込んだつもりでも、敵からはまだ壁に向かって走っているように姿が映るため、その状態を撃たれてしまったり、ほぼ同時に撃ち合ったのに自分だけが一方的にダメージを受けて負けてしまうという矛盾した問題が発生する事もある。
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